「夢をカタチに!和食を世界に!」。G-FACが掲げるこのビジョンを、誰よりも泥臭く、そして誰よりも壮大なスケールで体現しようとしているのは、人材紹介・コンサルティングの最前線に立つTさん。

彼が、心血を注いでいるのは、外国籍人材が日本で技術を磨き、母国へ戻ってリーダーとなる「リターンキャリア」の構築です。

人手不足を「文化の継承」に変える逆転の発想

「僕自身、ものすごく日本が好きで和食が好きなんです」と彼は語ります。しかし、現場で多くの経営者と対話する中で、Tさんはある「もったいないジレンマ」を感じていました。

日本の飲食店は深刻な人手不足。現場からは「良い子がほしい」と頼られますが、一方で「こんなに優秀で良い子なのに、制度上5年で帰さなきゃいけないなんて……」と、その才能を惜しみながらも、先のキャリアを描けずに悩んでいる経営者もたくさんいました。

特に対象職種(外食業など)において、期限なく日本にいられる「特定技能2号」という資格がまだ存在しなかった当時は、どれほど優秀なスタッフでも5年経てば必ず帰国しなければならない、絶対的な「終わり」が決まっていました。

日本人ですら3年続くのが珍しいと言われる業界で、5年も献身的に働く人材がいる。それなのに、期限が来れば関係が切れてしまうという前提があるために、彼らを「将来の経営を支える戦力」として捉えきれないもどかしい現状があったのです。Tさんは、この「期限付きの雇用」という枠組みに縛られている現状に対して、「もっと新しい関係性が作れるはずだ」と強い可能性を感じていました。

特定技能とは:日本の深刻な人手不足を解消するために作られた、外国人が日本で働くための在留資格(ビザ)の一種。2019年に制度が開始された頃は「1号(最大5年)」しかなく、外食業などで実質期限のない「2号」が認められたのは2023年のことでした。

「彼が帰る場所へ、進出してみるのは最高じゃないですか?」

そんな時、企業さんとの会話の中で、ひとつの考えが生まれました。 「海外展開の最大のネックは、現地で信頼できるパートナーがいないこと。もし進出したい気持ちがあるなら、日本で5年間苦楽を共にし、経営理念まで熟知した彼をリーダーにするのは、最高の一手なのでは?」

この問いかけが、企業の視点を劇的に変えました。いつか彼が母国へ帰ることを「終わりのカウントダウン」と捉えるのではなく、自分たちが世界へ出るための「スタートライン」と捉え直す。そう考えた瞬間、経営者は彼らのバックグラウンドや文化をより深く理解しようと歩み寄り、単なる雇い主から「共に世界へ挑むパートナー」へと変わります。 Tさんの役割は、単なる人手不足の解消から、企業の「新たな戦略の一手」をプロデュースすることへと進化したのです。

「百聞は一見にしかず」不安を期待に変えた自社店舗の日常

とはいえ、特定技能の制度ができた2019年当時、いまのように外国人が当たり前に飲食店で働く光景はまだ一般的ではありませんでした。当時は「受け入れなんて考えていない」という企業も多く、たとえ受け入れても「どうせ帰国してしまうのだから」と、彼らのキャリアを真剣に考える企業は少なかったのです。

Tさんの前に立ちはだかったのも、そんな根強い心理的な壁でした。
「海外展開云々の前に、まず日本で店長を任せられるレベルまで育ってもらう必要があります。でも、当時の企業側には『外国籍の店長は不安だ』というハードルがまだ非常に高くありました」。 

まずは認めてもらえなければ、その先の未来は描けない。そこでTさんは、自社ブランド『名代 宇奈とと』を活用して、言葉ではなく「実態」を見せることにしました。 実はG-FACの自社店舗では、当時からすでに多数の外国籍スタッフが現場の主力として、あるいは店長として数多く活躍していました。その日常の光景こそが、何よりの証明になると考えたのです。

「百聞は一見にしかず。実際に特定技能の人が店長として大活躍している現場を見てもらう『視察』を何度も行いました」。企業の担当者を店舗に招き、現役の店長と直接話してもらう懇親会のような場をセッティング。「嫌だった仕事はある?」といった赤裸々な本音をぶつけ合う場を作ることで、企業の不安を一つずつ期待へと変えていったのです。

特定技能の“出口”を創る。ベトナムでの実践モデル

また、プロジェクト責任者であるTさんの役割は、現場のCSが両面から集めてきた膨大な「ピース」を統合し、一つの大きな物語にすることです。

企業側のニーズと就労者の熱量を掛け合わせ、「あの子は強い意志を持っています。彼をリーダーにして、海外への新しい展開に挑戦しませんか?」と、単なる人材紹介を超えた「未来の可能性」を経営層に提案していきます。能力が伴っていなければ具体的にアドバイスし、企業と就労者のズレを埋めながら、新たなビジネスの形をプロデュースする、その地道な調整が、夢を現実へと動かしていくのです。

Tさんが進める「リターンキャリア」を象徴する大きな一歩が、G-FAC運営の焼鳥店『中目黒いぐち』のベトナム・ホーチミンへの初進出です。これは単なる海外出店ではありません。特定技能人材が5年間の就労期間を終えた後の“その先”を、会社として公式に提示する挑戦です。

このプロジェクトでは、日本の『中目黒いぐち』で5年間共に汗を流してきたベトナム人スタッフが、リーダーとして現地の店舗立ち上げを牽引します。日本で培った一級の技術と経験を胸に、今度は母国で和食文化を伝える立場として活躍します。「終わり」を「始まり」に変えるこの実践こそが、飲食業界における人材育成の新しい出口戦略となるのです。

短期集中育成で実現した、日本発・インドネシアへの「逆輸入」

自社のフラッグシップ的な挑戦に加え、他社との連携でも具体的な形が生まれつつあります。インドネシアのラーメン店の事例です。 ここでは募集段階から「将来は母国で飲食をやりたい人」という条件で人材を募りました。限られた時間の中で、海外店舗を任せる!という圧倒的な熱量をもって技術をギュッと詰め込み、徹底的に教え込んだのです。

結果として、3人のインドネシア人が日本で本場の技術を習得し、母国に新しくオープンする店舗の立ち上げメンバーとして胸を張って戻っていきました。自社で成功モデルを作り、それを他社へも展開していきます。Tさんが描いた「凱旋のスキーム」が、短期間の集中育成によって現実のものとなった瞬間でした。

「僕が始まりなんだ」と言える景色を、世界中の街角に

「彼らが活躍すれば、採用した人事の方の評価も上がり、本人も昇給し、僕らも新しいお話をいただける。全員がハッピーになるんです」。

Tさんの視線は、現在メインとなっているASEANのさらに先を見据えています。 「今はASEANが中心ですが、ここから世界中に派生させていきたい。例えば、僕が個人的に大好きなイタリア。イタリアのようなヨーロッパの街角にも和食のお店をどんどん出して、『ここのきっかけは僕なんだよ』と言えるお店が世界中に増えたら面白いですね」。

企業と就労者の夢、そして自身の和食への想いをギュッと抱きしめ、Tさんは今日も、世界中に新しい「和食の灯」を灯すためのピースを集め続けています。

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